2012年6月9日土曜日

研究プロジェクトの遂行概要 | 活動のご報告 | ママたす 最先端・次世代研究支援プログラム 子育て支援ガイドライン研究開発プロジェクト


2011年6月より、【研究1】産後4カ月間における産後の生活活動と身体的心理社会的健康状態に関する縦断研究を開始しました。

【研究1】の研究目的は、高年初産婦の産後4カ月間における産後の生活活動と身体的心理社会的健康状態、母親役割獲得過程との関係から、高年初産婦の子育て支援ニーズについて考察することです。高年初産婦特有の子育て支援ニーズを明らかにするために、35歳以上で出産した女性の協力を得て、面接調査、質問紙調査、生化学的ストレス測定調査、生活活動調査によって詳細な研究データを収集し、20代の初産婦とも一部データを比較することが特徴的であります。

高年初産婦の子育て支援ニーズを探る

千葉大学大学院看護学研究科
森 恵美


失語症treatmebt

近年、日本においては、初産出産年齢(平均29.4歳、2007年)が正規分布ではなくなり、20歳代が減少して、30歳代前半、30歳代後半が増え、生殖医療の発展により、40歳代以上の初産の母親が急増しています。妊娠出産、その後の子育ては身体的負荷であることはもとより、心理社会的ストレスであると考えます。35歳以上の高年妊産婦は、出産前は医学的身体的ハイリスクとして産科管理されますが、出産後のケアについては特別なガイドラインは示されていません。従来から、母親役割獲得過程の困難な対象者として、若年者が問題にされてきましたが、高年齢は注目されていなかったことも背景にあります。しかしながら、最近、これらの高年妊産婦において、身体的・心理社会的ストレスによる産後うつ病の発生が高いことが報 告されています。分娩後の在院日数や産後のサポート体制が日本とは違う米国や英国では、産後うつ病と虐待との関係も取りざたされ、産後うつ病になった女性への研究が行われていますが、その研究成果をそのまま日本に取り入れることはできません。


"熱痛覚閾値"

さて、産後の疲労感は産後3~4カ月まで継続し、育児による蓄積疲労や睡眠不足との関係が指摘されていますが、経産回数や年齢との関係は明らかにされていません。一方、1997年の前原らの研究においては、経膣分娩後在院日数は現在より長い平均6.

慢性疼痛の病態生理
4日でありましたが、長期入院者は学歴が高く有職の高年初産婦であり、高年初産では産後の疲労回復が遅れがちであることが推察されます。現在の35歳以上の高年妊産婦は15年前に比べて、高度生殖医療による妊婦や社会的地位や役割をもつ女性が多くなっています。これらの高年初産婦はその人生経験から自分なりに考え物事に主体的に対処する能力もある反面、周囲に同年代の親役割モデルがいなく、そのパートナーも両親も高齢で育児サポートが親族から得られにくいなど、初めての子育てに意欲的であるにもかかわらずその母子に合った適切な子育て支援が得られにくい状況があると考えられます。そして、帝王切開などの異常分娩発生率が高く、産後の回復や母乳分泌� �加齢現象の影響を受けている可能性があり、出産の回復が停滞し母親役割獲得に困難性が予想されます。また、キャリア女性は社会的地位が高く、役割や責任の範囲も大きく、育児休業もその役割上の責任感から取りたがらないと言われています。仕事・育児だけでなく介護も加わり、多重役割による加重負担も考えられます。以上のようなことから、高齢で初めて出産・子育てをする女性は、他の年代と比べて異なる子育て支援ニーズがあると考えました。


そこで、平成22年度より、文部科学省からの先端研究助成基金助成金(最先端・次世代研究開発支援プログラム)を受け、「日本の高年初産婦に特化した子育て支援ガイドラインの開発」に関する研究に取り組んでいます。

この講演では、上記研究プロジェクトについてご紹介し、会場の皆様と高年初産婦の子育て支援ニーズについて意見交換を行いました。

平成22~25年度独立行政法人日本学術振興会先端研究助成基金助成金
(最先端・次世代研究開発支援プログラム)
「日本の高年初産婦に特化した子育て支援ガイドラインの開発」
研究代表者:森 恵美(千葉大学大学院看護学研究科教授)
連絡先:〒260-8672 千葉市中央区亥鼻1-8-1
千葉大学大学院看護学研究科 母性看護学教育研究分野内
子育て支援ガイドライン開発研究グループ
E-Mail:morbr /> TEL: 043-226-2410/043-226-2413 FAX: 043-226-2414
高年齢で初めて出産した母親の子育て支援ニーズを探る
~あなたの意見をお聞かせください~

千葉大学大学院看護学研究科
森 恵美


講演では、Part1で日本の出産年齢の現状についてご紹介し、Part2で日本と欧米の子育て状況の比較についてのお話をさせていただきました。そしてPart3で高年初産婦の子育て支援ニーズについて、これまでの研究結果や文献検討に関するご紹介をした後、会場の皆さまと意見交換を行いました。市民の方と看護職者を合わせまして46名ほどの方にご参加いただきました。会場からは、「高年齢だから特別待遇してもらいたいというのではなく、その人個人に合ったケアを女性が選べるような環境にしてほしい。少し先の見通しを教えてもらい、いろいろなメニューから選べるとよいと思う。(高年齢で初めての出産を経験した看護職者)」、「アメリカで14年ほど生活した経験があるが、アメリカでは高年初産婦というと高学歴・高収� �の女性が多く、経済的に余裕があって仕事もフレキシブルに出来る環境がある。社会的資源の使い方が上手で、日本のように問題にはならないと思う。(看護職者)」、「出産直後の新生児は比較的傾眠傾向だが、高年初産婦の疲労を考慮して母子同室開始を1~2日遅らせると児が覚醒時期に入るので、よく泣くようになってしまった時期から同室を開始すると母親が児に慣れにくいのではないか。(看護職者)」などの意見が出されました。これらは全て今後の研究につながる貴重な情報であり、大変有意義な時間となりました。



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